2017年10月27日

(再録・日本一周記103)2003/10/16・景色も歴史も遥か遠く・・・

(第103日目)奈良県上北山村~川上村~大淀町~明日香村~桜井市~都祁村

最初に言っとくが 今日はやたら画像が多いぞっ!


抜けるような青空で抜けるような底冷えの朝5時、上北山村道の駅「吉野路上北山」にて起床・・・
いやいや、今日は朝から素晴らしい晴天に恵まれたな。 と、いうわけで今日は奈良県山間部の最後のチェックポイント、「大台ケ原山」に登ることにしよう。

少し解説すると 「大台ケ原」は奈良県と三重県との県境に位置し、標高1695M。日本百名山の一つで三重県側に日本三大峡谷の秘境・大杉谷をもつ山だ。

「日本有数の年間降水量の山岳地帯」ということなんだが これほどまで晴れるとは、昨日の夕方 一旦は来ようと思ったんだが今日に延ばして正解だったな、ふふふ・・・
わしの地図によれば この大台ケ原は山頂までパノラマラインの県道が通じていて この道の駅からだと50分程度で山頂まで行けるんだとか。

百名山の山頂が そんなに簡単に行けるのなら これは登らない手はないだろう。おまけに紀伊半島もぐるっと見渡せるし、何より三重県で見るのを諦めた「七ッ釜の滝」がある「大杉谷」がどんな場所なのか少し興味があったんだが それを簡単に上から見ることができるだろうし。

紀伊半島は暖かい本州でも南端に位置するんだが さすがに標高1600M超の山だと紅葉も始まっているだろうからな。こりゃ楽しみ楽しみ♪




想像どおり 素晴らしい景色のパノラマラインをトコトコ登り、何の労も無く大台ケ原山頂に到着~♪

って、平日にも関わらず すごい人だな・・・主に会社を定年したような老夫婦が多いんだが 中には小学生くらいの子供を連れた家族連れ、あと 中年のグループや若い夫婦みたいなのもいるぞ・・・あんたら 仕事は・・・?(←自分の事は棚に上げる男)

そりゃそうと「山頂駐車場」に着いたのは良いんだけれど、ココからでは全く景色が見えないんですけど・・・まわりの人を見ると みんなジャケットや登山帽、パンパンに膨れたリュックサック、いかにもな登山靴で完全な登山スタイルなんですけど・・・

わしは防寒着など持ってないし トレーナーや長袖もこの連日の雨と汗でグチャグチャになったんで 臭くてトランクに丸めているから TシャツにGジャンを羽織っただけなんだがのぅ・・・しかもコンビニが村に無かったから空腹だし。

あとの装備は例によってデジカメと電波の入らない携帯と普通の靴・・・こりゃ「ハイキング気分でナメてかかると尾瀬や大雪山みたいにエライ目に遭う」というパターンか?

さっそくビジターセンターに行って見ると どうやら展望台に行くには2キロ程度のトレッキングが必要らしいな。おまけに仮にも「日本一の豪雨地帯」ということなんで天候が変わりやすく、それなりの登山に似合った格好をするように呼びかけていたぞ。

ま、無いものは仕方がない、と言うことで済ますしかあるまいな・・・この青空で数キロの遊歩道を歩いたくらいでは特には問題あるまい。それにここは仮にも山頂だから そんなにアップダウンがあるとは思えないしな。では念のためにペットボトルを買って レッツゴウだ!!



しかし 50代を過ぎたくらいで体力のまだ残っている壮年の人が 会社を定年で離れた後に奥さんを連れて夫婦でこういう山を歩き回る、というのは実に良い趣味だと思うな。もちろん若くは無いから安全な遊歩道を散策する程度なんだろうけど、傍から見てて羨ましい人生だと思うな。

わしのように40前にして会社をドロップアウトして 一人で思いつきでフラッと山歩きをするのと やっている事は同じはずなんだが 傍から見たら不審に思われてしまうのは何故かしら?この違いは何処から来るのかなあ?

そんなことを思いながら歩いてみたが いやあ、さすが国立公園だな。素晴らしい景色の連続だ。
朝からの散策だったせいか 途中、野生のシカなんかも見かけたが 北海道のシカと違って本土のシカは人なれしていないから わしがデジカメを起動させる前に素早くどこかに隠れてしまうのが実に残念じゃ。わしがシカの気配に気付くより シカがわしの気配に気付く方が早いから仕方がないんだが・・・

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3~40分歩いていくと ようやく真の山頂、日出ヶ岳が見えてきたぞっ!これでまた一つ、百名山を踏破じゃ!

むはぁ~!! 360℃ 山ばかりと思っていたら こっちの方は海が見えるんだな。

この画像では例によって何のことやらわかんないと思うが 眼下には熊野灘が広がり紀伊半島の入り組んだリアス式の入り江の様子がよくわかるぞ。

周りには名だたる山の数々が幾つも見えるんだが 正直言ってどれがどの山だかは今ひとつわかんないな。晴れればココから知多半島、御嶽山や甲斐駒ケ岳、さらに空気が澄んでいたら富士山まで見えるんだそうな。
ま、そこまで見ようと思えば肉眼では視力がどのくらい必要なのかわかんないけど・・・

この東側に広がる山の谷が三重県の「大杉谷」なんだが、この山頂からそこに行くルートが延びているらしい。

さすがに名高い秘境なだけあって 登山ルートの入り口には警告の看板が・・・


これを勇気を出して突き進んでいけば このHPにももう少し華が添えられるストーリーが生まれたかもしれないが、そんな危険を冒してまで話題作りをしなければならない義務もないから止めておいたぞ。

少なくともTシャツの上にGジャンを羽織り ポケットにペットボトルのお茶を1本入れただけの手ぶらでヘラヘラと山歩きをしている男が行くルートではなかろう。ココにいる時点で既に周りから浮いた存在なのに・・・

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思いのほか早く頂上に上がったんで これで終わるというのも少し物足りないのも事実・・・まだ体力も時間もあるし 他の自然散策コースもついでに歩いてみるかのぅ。

頂上付近の様子はこんな感じ。

「このあたりが森林限界なのかな?」とか思ったりしたんだが それにしては今現在 枯れているこの樹木は一体いつ生えていたんだ?古代のものとは思えないし・・・

実はこのあたりは昔はうっそうとした原生林だったらしい。1960年代の伊勢湾台風で山頂付近の木があちこち倒され 少し日差しが入るようになると笹が茂り その笹を餌にする鹿が増えて このあたりの木の皮を根こそぎ食い荒らすようになって ついにはこの有様になってしまったんだとか。

伊勢湾台風は ある父娘を別れ離れにさせたり せっかく建てた夢のマイホームを濁流に押し流したりするだけじゃなく、こんなところにも意外な被害を与えていたわけだなあ。(←?)

確か「牛石ヶ原」だと思ったが なぜか建てられていた神武天皇像

どこぞの老夫婦が通りすがりの外人のお兄さんに「アレハ 誰デスカ?」と質問されて 「ヒーイズア ジャパニーズ・・・ファースト・・・エンプティ・・・」とか苦しみながら答えていたのが微笑ましかったな。
「アァ、最初ノ天皇デスネ」とか言っていたんで いいかげんな発音でも意外と通じるものなんだ、と感心してしまったぞ。

って、いうか外人の兄ちゃん 日本語が達者だったのに なんで日本人は外人を見たら わざわざ英語で話そうとするんだろうな?
つくづく思うに わしが質問されなくて良かったぞ・・・。


牛石ヶ原から600Mほど進んだところにあるのが「セイロ嵓」というポイント。 ここは岩が剥き出しになった険しい場所で景観も凄く、おそらく大台ケ原では最大の見所ではないかと思うぞ。

しかしなんちゅう風景じゃ・・・つくづく 今日が晴れてよかったと思うな。正直言ってココが見れただけでも2時間近く遊歩道を歩いた価値は十分あるぞ。どれを「今日の一枚」の写真にしても おかしくない絶景じゃ。


左の画像の上から3分の1くらいのほぼ中央に 小さい白い線があるのが判るだろうか?

右が光学3倍望遠にデジタル望遠を組み合わせて だいたい10倍近くにズームして撮った拡大写真なんだが これが名瀑百選の一つ、「中の滝」だ。
わしの地図には「遠景に望む大瀑布」とか書かれていたし どうみても道の無い山の中にぽつんとあったんでコレは諦めていたんだがな。

そうか、ここから眺める滝だったのか・・・

せっかくここまで来たんだから 記念写真でも・・・と思ってセイロ嵓の先っぽに立ってみたが こんな感じだ。
なんちゅう絶景!凄い!怖い!凄怖いぞ!!足元と後ろが気になって仕方がないぞっ!

断崖絶壁に突き出た岩の上で 下まで何百メートルあるのか見当もつかないぞ。風もつよく この柵がなかったら絶対 1年に数人は死んでいるな・・・雨が降らなくて良かったと心底思ったな。

柵を乗り越えて下の岩場に下り、セイロ嵓の紅葉写真を撮ろうとしているカメラマン親父がいたが よくあんなとこまで行こうと思うよなあ・・・
コッソリ近づいて後ろから膝カックンをしてやれば オッサンもかなりビビると思うから面白そうなんだが わしにはとてもそんな根性ないし 第一 命をかけてそんなことをする理由も必要性も見つからないな・・・。

セイロ嵓から更に1500Mほど遊歩道を進んだところにある「シオカラ沢」。吊橋があって絶好の紅葉スポットだ。

ここもまた どうしようもないほど素晴らしい紅葉の景観なんだが デジカメの画像はどうして肉眼で見たくらいの鮮やかな赤や黄色が表現できないんだろうな・・・もちろん銀塩でもテクニックが要るんだろうが。

しかし今はデジカメなんて言うツールがあって便利だな。これで普通のカメラしか持ってなかったら 現像代がいくら掛かるのか見当もつかないぞ。

結局 今日は大台ヶ原の駐車場から日出ヶ原~正木ヶ原~セイロ嵓~シオカラ沢~駐車場、と トレッキングコースの「東大台ケ原・完全クリアコース」を歩いてしまったな。
所要時間約3時間40分、高低差400M、距離は8.4キロらしいが いやいや昼過ぎには歩き終えたものの 朝っぱらから朝食抜きで歩いたんで かなり疲れたぞ。

 

体が塩分と水分と糖分を求めていたんで 駐車場近くのレストランで昼食としていただいたのが この山菜うどん(600円)とワラビ餅(200円)。ま、特には説明不要だな。

さ、山も堪能したし紅葉も見れたし、これからは下界に降臨して奈良のメイン、歴史と文化を散策するとしようかのぅ。
ちなみに左の写真は 山の食事では糖分が足りなかったんで 下界の道の駅「杉の湯川上」で買った 高原名物「火打餅」とやら。単なる餃子くらいの大きさのヨモギ餅だったぞ。

これは川上村の国道沿いにあった「奥吉野 柏木の不動窟」とやらの入り口にあった「滝の水」

なんでもココは1300年前に彫られた不動明王像が安置されている洞窟で 天然記念物の指定も受けているらしい・・・
それにしてはわしの地図には何も載ってないし、道の駅でもそんなものがあるという情報は何も無かったな・・・「柏木観光協会指定の名勝」というのも どうも怪しい・・・国や県 せめて村の観光協会の指定ならまだしも・・

この不動窟のある滝の水は「一口飲むと健康で安らかな人生を送れる」「現在の科学では解明できない不思議な力の水」なんだそうな。
科学で解明できないものを迂闊に飲んで大丈夫なんかな?という疑問もあったが とりあえず一口飲んでみたぞ。

・・・コンクリートの壁から突き出た塩ビの筒から流れ落ちていたのがアレだったが、まあ普通の水だったな。「奈良県の名水百選」というローカルな肩書きが どれほどのものかは知らんが・・・

ちなみにメインの不動窟を拝観するのは500円掛かるらしいんで こちらは少し怪しすぎて 金を払ってまで見る気にならず。



このあと 国道を登って吉野地区に入り 大淀町道の駅「吉野路大淀 iセンター」で吉野の見どころは何か無いか調べてみたんだが あまり有力な情報、チェックポイントは発見できなかったな。

密教の山岳修行者が登るという金峯山とやらに登って荒行を体験するのも面白そうだったが わしも百日を越える放浪の旅で すでに見た目はそんな感じになっているから もういいだろ。

さらに北上を続けると明日香村に突入。「高松塚」という看板を目にして そういえば奈良では奈良公園に行ってノホホンと鹿に餌をやるくらいしか思いつかずにいたな・・・わしともあろうものが飛鳥文化の遺跡の数々のある明日香村を見落としているとは・・・これは偶然とは言え通り過ぎる前に気がついて良かったわい。


これが壁画で有名な「高松塚古墳」だ。本来はこんもりと土の盛られた姿なんだが 近年、中の壁画にカビが発見されたり 大量の虫が入り込んだりして保存状態が悪化したために このように防水シートで覆われて保存・復元作業が行われているのだとか。

もちろん中の壁画は調査・保存のために密封閉鎖されているんで 一般への公開はされないんだが、となりにある「高松塚壁画館」で忠実に再現された模写が見れるというんで いい機会だから見てきたぞ。(模写複製のクセに写真撮影は厳禁だったが・・・)

高松塚古墳から2キロくらい離れたところにあった「石舞台古墳」。これも歴史の教科書に載っている有名な遺跡で ムー的な要素がプンプン感じられるスポットだな。

「蘇我馬子の墓」という説が最も有力らしいが 本来はこの石室の上には土が盛られていて 円墳だか前方後円墳の形をしていたらしい。教科書ではこの写真しか見なかったから 「これは元々こういう形をした遺跡なんだ」と思い込んでいたぞ。

この古墳も貴重な文化財であることには間違いないんだが 難点を言えば「駐車場に500円取られた上に さらに拝観料として250円も取るのはいかがなものか?」ということだな。500円払って車を入れたんなら これを見ないわけにもいかないだろうが・・・

ただ この古墳は石室の内部にも入ることができるんで 遠慮なく記念写真をとらせてもらったぞ。

いやあ、それにしてもさすがにでかいな。よく昔の人はこんなものを運んで積み上げたな、と感心してしまうぞ。





・・・いやいや、いかにも悠久のロマンを感じさせる素朴な風景だな、明日香村・・・

ココには飛鳥寺を始め いろんな天皇の古墳、亀型石造物やキトラ古墳、藤原京跡など いかにもわし好みの数多くの飛鳥時代の遺跡が村中に点在しているんだが 正直言ってココだけでも見て回るには2日くらい必要かもしれんな。

車では駐車場で金がいくらかかるかわかんないし レンタサイクルでも借りて 泊まりこみで散策して回るのが一番いいのかもしれないな。

夕方にフラッと来たんで日も傾いてきたし このままココを去るのは少々勿体無い気もするんだが とても全部は回れないし 時間と金が足りないぞ。

止むを得ん、数ある遺跡のなかから あと一つだけ「これは!」と思うものを決めて 明日香村の散策を終えるとするかのぅ・・・

で、選びに選んだ最後の散策地がコレとは・・・わしって奴は・・・わしって奴は・・・



この後、今日の寝床を求めて彷徨うわけなんだが、週末の混む前に東大寺や奈良公園は済ませておきたいから 明日はいよいよ奈良の都を散策するつもりだ。一夜を過ごす道の駅もできるだけ奈良市に近いほうがよかろう。

その前に途中に通りすがった桜井市でコインランドリーとセルフガソリンスタンドを見つけたんで給油と洗濯等・・・
(シェル石油・367.3K地点 35.54L / 3298円) 

夏場はシャツとパンツだけで良かったし その予備衣料はある程度持ち歩いていたんだが 長袖やトレーナーの類は2,3枚しか持ってないし 長く着ているとさすがに車内に甘酸っぱい匂いがしてきたんで いい加減どこかで洗濯をしておきたかったのだ。当初はこんなに長く放浪の旅をするつもりは無かったしなあ・・・

ついでにコインランドリーの隣にあったホカホカ弁当で 洗濯の待ち時間にディナーを済ませることに。

別になんでも良かったんだが、「日替わり弁当」(600円)が具だくさんで店長のオススメだというんで それを注文したんだが・・・

いやいや、さすがに関西圏だな。まさか弁当のオカズにまで お好み焼きが入っているとは思わなかったぞ。そういう定食があるのは知っていたし 大阪に住んでいた大学生の頃は良く食べたんだが 久しぶりにご飯でお好み焼きを食うと 食べ方を悩むな・・・



結局 夜中にウロウロとさまよい 都祁村道の駅「針 T・R・S」に到着。

変な名前の道の駅だが さすがに全国最大規模の道の駅というだけあって やたら広いしトイレも綺麗、食堂も売店もでっかくて10時まで営業しているし ファミレスやロッテリアなどのテナント街まで併設しているとは・・・マッサージや温泉施設まである、とか書いてあるが いやいやたいしたものだ。

ここで車中泊する同志も駐車場にたくさんいるし、これは警察や周囲の住民の目を気にすることも無く 快適な夜が過ごせそうだな・・・ふふふ・・・



今日の一枚・・・
紅葉に染まる大台ケ原の大蛇嵓。 圧巻・・・

走行距離155K
出費金額寝起きのコーヒー・・・120円
お茶・・・180円
大台ケ原トレッキングマップ・・・100円(募金)
山菜うどん・・・600円
蕨餅・・・200円
火打ち餅・・・210円
高松塚壁画館・・・250円
石舞台駐車場・・・500円
石舞台古墳参拝料・・・250円
ガソリン給油(35.54L)・・・3298円
コインランドリー・・・800円
ほかほか弁当(夕食)・・・600円
コンビニにてパン・お茶・その他・・・477円
計・7585円

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