2017年8月22日

(再録・日本一周記066)2003/09/09・夏が去る!忘れないうちに尾瀬に行こう!

(第66日目)田島町~檜枝岐村~舘岩村~田島町

朝5時過ぎ、道の駅「たじま」にて起床・・・

福島に入ったときに地図を眺めて進むルートを考えていたら 尾瀬が栃木と新潟の県境にあるということを初めて確認したな・・・
もちろん尾瀬という地名は聞いたことがあるし どんなところかというのも大体は知っていたんだが この旅をするに当たって調べるまでは てっきり長野とかそのへんにあるものとばかり思っていたなあ。(←山関係はほとんど長野というイメージを持っているらしい)

で、流れ流れて結局 尾瀬の近くに来ちゃったんだが 山の中にある湿原ということなんで やっぱり天候が大きく影響してくる場所だと思うのだ。
もともと福島県に来たときには尾瀬の訪問はまるで考えてなかったんだが 山の場合は雨だったら全く身動きがとれないし やっぱり晴れと確信できるような状態なら早めに済ませておいても悪くはなかろう。
雨だったら群馬に行ったときにまた予定に組み込めばいいし。群馬は群馬で また濃そうなんで一つでも先に済ませることができたら後の行動もラクだしな。

尾瀬に入るには群馬県ルートと福島県ルートがあるようだが 福島県の方がベースとなる道の駅が近くにあるし それに滝百選の「三条の滝」も福島県に属するみたいだし 都合が良さそうだしな。

昨日の分の旅行記を書いていたら 7時頃にはキリも晴れてきて青空が出てきたな。と、いうわけで今日は尾瀬の散策で決定だなっ!ふふぅ~!


田島の道の駅もいいかげん山の中だったんだが 道の駅を出ると既に携帯は電波の届かない地域になっていたな・・・

それからさらに林道などを使って50キロほど山間部に進み 尾瀬へのアクセスポイントがある県境の桧枝岐村に到着・・・見事に山の中だが なんかいい雰囲気の温泉街なんだな、このあたりは。
さらに山の中に突き進むんだが この村の中心部と思われる場所でコンビニを見つけたんで 別に腹が空いているわけではなかったんだが 念のためにオニギリなどを頬張っておくことに。



途中、「モーカケの滝」なる滝があったんで それをヘラヘラと眺め、それから更に山を進んで「御池」という駐車場に到着。

尾瀬は日光国立公園の一部で 立山や知床同様、自然保護の観点からマイカーでの入山を厳しく制限しているのだ。
と、いうわけでこの「御池駐車場」からはバスに乗り換えてゲートを通過しなければならないわけだが やはりシーズンオフの平日ということで あんまり人影も見られず・・・

いや、駐車場にはそれなりに車が止まっているんで入山している人はいるんだろうけど わしも今日は早めに来たつもりだが 来る人はもっと早くから来るんだろうな。それにココからは登山ルートもあるみたいだし バスを使わないで歩いて尾瀬に向かう人もいるんだろう。

「尾瀬の入山者への心得」とかいう看板を見ると 「山で気候も低く また湿地帯で雨も多いから 準備は万端にしておけ」とか書かれておるな・・・尾瀬は登山と違って湿原を歩くだけだから そこまでのことは全く想定してなかったな・・・相変わらず山をナメとるのう、わし・・・

いくら準備は万端にしろ、と言われても手持ちのアイテムが限られているんだが それでも北海道の大雪山での経験を生かして 防寒と霧雨対策としてビニール製のジャケットとペットボトルのお茶をナップサックに仕込んでおいたな。

やっぱりわしみたいなオチャラケなビジターでも ナップサックなどを背負うと「尾瀬に行くんだな」と匂わせるものがあるよなあ~。手ぶらだと また周りから白い目で見られるところだったわい。


これが今回 わしの尾瀬行きのために特別にチャーターされた定期巡回バス。

いや、単に3~40分おきに出ている地元のバス会社の尾瀬行き便なんだが 完全に貸切状態だったぞ。さすが平日・・・
ちなみにこの「御池駐車場」の自販機では500MLのペットボトルは200円だ。そうと知っていれば ふもとの商店で買っておけばよかったな。
でも その50円をしぶって手ぶらで入山すると また大雪山のときのように喉の渇きに悩みそうなんで 諦めて1つ買っておくことに。

あとで「50円くらい高くても2本くらい買っておけば良かった」と後悔することになるとは このときは想像もしてなかったけどな・・・





数キロの専用道を通って9時半頃 沼山峠休憩所に到着。ここからは徒歩の散策となるのだ。
標高1784Mの峠を越えるとそこには大江湿原が広がっているぞ!

むぅ・・・絵葉書の中か、ここは?
 
向こうに見えるのが尾瀬沼なんだが いやいや素晴らしい眺めだな。

さすがにこういう景色は滅多に拝めるものではないな~ 国が厳重に立ち入りなんかを管理して保護するわけだ。
立山とか知床に行ったときにも感じたんだが 国立公園と国定公園の差というのをつくづく感じるのぅ。



こっからいきなりカメラマン泣かせの風景が続くんだが 今の時代はデジカメがあって ほんとに助かるな。
これが一昔前だったら写真を撮りまくって いくら現像代が掛かるのか判ったモンじゃないなあ。

花がほとんど目立たないし紅葉も始まっていない 一番のシーズンオフでこれだから ミズバショウなんかが咲き誇る初夏にはどうなっているんだろうな?逆に今の時期だから人も少なくて思い切り堪能できるとも言えるんだが・・・
3キロほど湿原を歩くと「尾瀬沼ビジターセンター」に到着。
だいたい何処の観光地でも ビジターセンターにはその名の通り 来た人に有益な情報を掲示してあったりするので わしも来れれば来るようにしているのだ。
なんでもこの尾瀬付近にはオコジョが生息しており 情報を寄せてくれた目撃者には「オコジョ目撃証明書」なるものが頂けるらしい。

むぅ、見てみたいな、オコジョ・・・今日はオコジョ目撃を第一希望、ということで散策するかのぅ。

このビジターセンターで尾瀬のトレッキングガイドというか 簡単な周辺地図をゲット。この手のチラシは普通 無料配布なんだが ここでは一部100円を「募金」と言う形で徴収されたが ま、何も知らずに放浪することを考えたら 100円くらいは止むを得まいな。

裏に小さく「このガイドは簡単なものだから 次回に来るときは市販のガイドブックなどで下調べしてから来い」などと説教めいた事が書かれていたが・・・すまんのう、思いつきでこんなところに来てしまって・・・


尾瀬沼の湖畔に沿って延びている 湿原と林が交互にある遊歩道を3キロほど歩き さらに傍にそびえたつ燧ケ岳の樹林の中をエッチラオッチラと峠越えをすると いよいよ尾瀬ヶ原だ。ここに福島県と群馬県と新潟県の県境が重なっているのだ。

「見晴十字路」に到着。ここには簡単な食事処や山小屋があって 歩いてやってきた人が休憩できるようになっている。
それに広大な尾瀬を見るには とても一日では回りきれないんで 時間と金銭的に余裕のある人は こういうところで宿泊して3~4日かけてトレッキングをするらしい。それが本来の尾瀬の楽しみ方なんだろうな。



この時点ですでに10キロ以上歩いているんだが まだ平坦な道を進む「初心者向けトレッキングコース」ということで 右の写真のように はしゃげるだけの精神的、肉体的余裕があるぞ。

実は すでにペットボトルのお茶はこの時点で全て飲み尽くされていたのだが、旭岳やトムラウシ山と違って あちらこちらに売店があることがわかったんで安心していたのだ。

この時はまでは・・・



尾瀬のシーズンは雪が無くなる5月から紅葉の10月中旬まで。
一番人気のあるミズバショウのシーズンである初夏と夏休み、それと紅葉シーズンの週末は恐ろしく人が多いため 細い遊歩道はマトモに歩くことも出来なくなるようだ。

で、一番人気の無いシーズンは 今の9月上・中旬なんだが さすがに湿原にも目立った花も無く 写真集などで見るような華やかさは無いぞ。
それでも全く花が咲かない、というわけではなく このように黄色や紫、白の花がポツポツと咲いているんで それを愛でるのも また趣があってよろしいかと・・・

それに森の中を歩けば赤や黄色、白などの華やかな(と、いうか毒々しい)色のキノコはいっぱい伸びているぞっ!
ここまできたら バスの発着する沼山峠まで戻るのと 滝を見てから山道を越えて 車を止めた御池の休憩所まで戻るのとでは 地図上の距離では全然変わらない。

もちろん 山道を突き進む「中級者向けトレッキングコース」を通るんで それなりに肉体的に影響はあると思うのだが・・・

わしの場合、滝も見たいし 帰りのバス代も浮かせることが出来るんで 当然のことながら「裏林道コース」を選択することに。

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1.5キロほど歩いて尾瀬ヶ原を越え 赤田代という休憩所に到着。 ここで今後の山道の徒歩に備えて 簡単な食事とペットボトルのジュースなどを購入しようと思ったんだが・・・

尾瀬の売店では500MLペットボトルの爽健美茶が一本400円ということが判明・・・その他 カップめんが450円とか牛丼が800円とか・・・
ま、確かに車の通行も不可の場所だし ここに物資を運ぶだけでも10キロ以上の距離を人力に頼らなくてはいけないだろうから その価格も言われてみれば判らないこともないんだが・・・

しかし たかがお茶に400円払うくらいだったら 沢の水を飲んだ方が健康的には問題アリだが精神的にはラクだぞ。そうとわかっていたら麓の町で2~3本 まとめて買っておけば良かった・・・

朝 いやな予感がしたんでオニギリを食っていたのがせめてもの救いだったな・・・

結局 沢の水も飲む勇気が無かったんで 持っていたタオルを沢に遭遇するたびに水に浸して 体を冷やしながら歩くことに。いやいや 暑くてジャケットは邪魔なだけだが 念のためにタオルを持ち込んでいて正解だったな。

もはやトレッキングというよりは完全に登山と化した行程を進み、ようやく「三条の滝」の展望台に到着~

今までいろんな滝を見てきたが たどり着くまでの行程の難易度で言えばピカイチで辛かったぞ、三条の滝よ・・・。

しかしながら さすが滝百選の一つだけあって なかなかの迫力だな。 

高低差約100M、周りに生えているコケのような物体は 一つ一つが巨大な松や杉の木だ。 すべての尾瀬の水が最終的にココに集まって 大瀑布となって下に流れていくんだとか。

・・・じゃ、早く戻らないと日が暮れてしまうんで 急いで御池まで進むとするかのぅ・・・

滝からしばらくは健脚向きの中級コースが続くぞ。
これは木の根っこをそのまま利用した階段。
はっきり言って こんなコースばっかりだから靴は履きなれた運動靴でないとキツイな。

当初の「湿原をノホホンと歩き彷徨う」という構想は もはやすっかり忘れてしまったぞ。

沢を越えると 今度は緩やかなブナの原生林に突入。
この辺りから初心者コースになるんで 比較的ラクなんだが 既に体力と足の筋肉がヘロヘロ・・・

そうそう、尾瀬は野鳥も多いんだが 木の上よりも腰の高さの熊笹の中を好むみたいだな。足元からピーチクパーチクと鳴き声が聞こえるんで 思わず鳴き主を探してしまうよなあ。

遊歩道の途中で何やら排泄物らしき物体を発見。
場所が場所だし 色、形 大きさから見てもキツネや鹿のものとは考えにくいな。ちり紙が添付されていないことからも人間の仕業では無さそうだし、やっぱ熊のものと考えるのがモアベターだろう。

と、いうか 確かに熊が居そうだもんな、この辺りは・・・日が暮れる前に早く脱出せねば 明日には我が身がこの糞の材料になってしまう可能性もあるぞっ!



ブナ林を抜け、なんとか御池駐車場手前の上田代の湿原に到着~~~。ここまでくれば後は平坦な道が続くし 駐車場まで そんなに距離もないぞ。

そんなこんなで夕方5時に 朝 バスに乗った御池の駐車場に到着~。

いやはや 地図上の距離を単純に足しただけでも22キロ以上、都合7時間以上も湿原と山道を歩きっぱなしだ。どこが「オープンカーで日本一周の旅」なんだろうな?

しかし今回 わしが回ったのは尾瀬の中でも福島県のエリアだけなんだが これでもっと広い群馬県エリアを回っていたり燧ケ岳の登山なんかにウツツを抜かしていたら とても今日中には戻って来れなかったろうな・・・



う~ん、さすがに疲れたな、尾瀬・・・もう足の筋肉がズキズキするし 膝が笑っているぞ。今日はもう一番近い道の駅「たじま」に戻って 先に進むことは考えない方が良かろう。

と、道の駅に戻る前に、こういう疲れたときには やはり温泉でその日のうちに疲れを取るのが肝要だと 私は常日頃から思っているわけだ。

ふふふ、実は尾瀬に来る前に 途中の舘岩村というところにある木賊温泉とやらに共同浴場があることをチェックしておいたのだ。では早速 行ってみる事にするかのぅ。


この木賊温泉、尾瀬に来る登山愛好家には かなり有名な存在らしい、と言う情報はネットでつかんでいたのだ。

ご覧の通り、川の傍に作られた小屋で 川の流れを見ながらノンビリとお湯に浸かることの出来る露天風呂だ。 内部は申し訳程度に浴槽が2つに分けられている。覗こうと思えば簡単に覗くことの出来るスタイルだな。

もちろん村の共同浴場なんで 誰でも入ることができる。 料金は特に決まっておらず タダで入ろうと思えば入れるんだが 一応「管理のための募金のお願い」という注意書きがしてあって 一回の入浴に200円以上の協力金を募っているぞ。

まあ 露天と言えども 誰かが管理してくれているから 我々も温泉を気軽に堪能できるわけだし そんなことをケチっているようでは真の風流人、温泉愛好家とはいえまい。このような風情のある温泉が今後運営できなくなる可能性があるというのなら わしも微力ながら維持管理に協力させてもらおう。

そのかわり200円分はきっちり堪能させて頂くとするかのぅ。ふふぅ~。

 「ほえほえ~~~♪」
 名目無料!推定露天!実質混浴!

ま、「完全」とまでは行かないが むしろこういうスタイルの方が情緒とか風情には溢れているんではないかなあ?下手にややこしい場所にあるよりは気軽に入れてノンビリできるし。

あと特筆すべきは ここの温泉の泉質はわし好みのヌルッとした かなりグレードの高いなものだということだ。川の眺めは着替えの衣料棚で少しふさがれてしまうのが難点だが せせらぎも聞けるし雰囲気はバッチリだぞ。オススメ度がかなり高いんで 尾瀬の福島県ルートを使う人には 是非試してもらったほうがいいと思うな。



温泉を堪能していたら すっかり日も暮れて7時過ぎに再び道の駅「たじま」に到着。同じ道の駅に2度泊まることは滅多に無いはずなんだが 今日は止むを得まいな。

温泉効果もあって8時過ぎには深い眠りについて 今日の行動は終了。これで思い残すことなく 明日からいよいよ関東圏に突入だなっ!



今日の一枚・・・
百名山・燧ケ岳と尾瀬沼

走行距離139K
出費金額オニギリ2ヶ・ミネラルウォーター・・・404円
お茶・ジュース・・・400円
御池駐車場・・・1000円
会津交通バス(御池~沼山峠)・・・530円
チラシ(募金)・・・100円
木賊温泉(募金)・・・200円
コンビニ弁当・お茶・その他・・・984円
計・3618円

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