2022年7月13日

サバーサマ・サマー 2022【2008年記事再録】

 

ナツズイセンかと思ったが どうもサフランモドキとか本アマリリスとか そういう種類のようだが、、、

こういうヒガンバナ系の花が咲きだす頃になると どうしても気になってしまう行事が長門市から下関市にかかる北浦地域で執り行われている。それが「北浦の虫送り神事」あるいは「サバ―送り」と呼ばれる儀式というか神事というか農耕儀礼なんだが、今回のネタの前に まずは2008年7月1日に旧ぷららブログにアップした記事を再録しておこう。

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ども、山崎バニラは きっと何処かにヘリウムガスを隠し持っているはずだ、と 信じて疑わないBARAです。 

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 さて、ニュースを見て知ったんだが、今日は暦の上では「半夏生(はんげしょう)」に当たる日なんだとか。 「半夏生」と言われても今まで意識したこともなかったんだが、夏至から数えて11日目に当たる日で 関西では蛸を、讃岐ではウドンを、福井では焼き鯖を食べる風習があるんだそうな。 で、農家の方は この日までに田植えを済ませることが望ましい、とされているんだそうな。これも全く知らなかったな。

山口県地方でも田植えの時期は終わって 田んぼにはオタマジャクシがウロチョロ動き出す季節になってきたわけだが、この時期になると今年もまたあの奇祭が行われるに違いない・・・と、いうわけで 先の日曜日に長門の飯山八幡宮に調査に行ってきたわけだ。

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これが長門市・東深川にある「飯山八幡宮」。 
去年の日記にも書いたんだが、ここが山口県の北浦地方に伝わる虫除け神事、「サバーサマ」の起点となる場所でもあるわけだ。 

 サバーサマについてはさんにゃんさんのサイトで詳しく扱っているが、簡単に説明すると、稲の害虫ウンカを「サバー」と呼ぶそうだが、「サバーサマ」「サネモリサマ」と呼ばれる藁人形が ココ飯山八幡宮から田んぼ伝いに西に向って運ばれ、最後には豊北町あたりで焼かれるか海に投げ込まれる、という風習らしい

「山口民俗学」の記事によると、サネモリとは武将・斉藤実盛。  伝説では、加賀での源平の戦で稲の切り株に足をとられ討ち死にした実盛の怨念が害虫に変わったとされる。

なんか逆恨みのような解釈だが 斉藤実盛はこれをきっかけに田んぼに深い恨みを持つようになったわけだ。 

 ・・・で、農民達は田んぼに付く害虫を追い払うために 害虫の化身であるサバーサマと害虫の親玉であるサネモリサマの2体の藁人形を作り、それを田んぼにおいて人形に害虫を誘き寄せて 次の田んぼへと送り、豊作を祈願したわけだ。(と、わしは解釈しているぞ) サバーサマは人々の手によって秘密裏に運ばれるわけだが、あまり一所に滞在されてしまうと 藁に入り込んだ害虫が田んぼに広まってしまうために サバーサマがやって来た田んぼの主は急いで次の田んぼにサバーサマを運ばなくてはならないらしい。 

要するに子供の頃に「バイキンがうつる~」とか言って 追いかけてタッチする鬼ごっこみたいな遊びをやった記憶があるが、アレの広域版というか、いくつかの村を巻き込んで行われているようなものだな。
違いがあるとすれば「バトンタッチできるのは西への一方向のみ」ということで 「あいつは嫌いだから・・・」と嫌がらせのようにサバーサマをバックさせて進行をシャットアウトさせたり、村八分になっている農家の田んぼに大量のサバーサマを送りつけるようなイジメはダメらしい・・・ ネットで探したら
ココのブログがなかなか面白くて判りやすかったが、しかし仮にも「神様」なのに 扱いが「エンガチョ」なのが凄いな・・・(´ー`) 

で、わしも一昨年くらいから毎年、この時期になると「何とかサバーサマの実物を見てやろう」と、北浦地方に出向いたときは田んぼをじろじろ眺めて居たんだが、さんにゃんさんの情報に拠ると サバー送り神事は毎年6月の最終週か7月の第一週に行われるらしい。 来週の土日は わしは休日出勤が確定なんで 結果的にこの日曜しか動けなかったんだが、一か八かで飯山八幡宮に出向いた、というわけじゃ。 

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飯山八幡宮に行くと 境内にはたくさんの車が停まっていて 何か催しが行われている感じがしたんだが、たまたま通りかかった氏子の方にお話を伺うと この日は氏子の総会みたいなことが行われていたらしい。 結論を言うと 今年の「サバーサマ」は来週7月6日、予定では11時頃から行われる予定なんだそうな
6日が休日出勤のわしは 残念ながら今年も拝むことができないことが決定・・・orz

ただ、氏子さんに「ちょっとサバーサマのことを聞きたくて来たんですが・・・」と打ち明けると、「おぉ!」と驚いた顔をして 「あなた方のような若い方がサバーサマに興味を持っていただいているとは有り難いですね。 今 サバーサマは(本殿の)中に置かれているんですが ちょっと見て行かれますか?」 と 言っていただいたんで、来週の出撃を控えてお休みになられているサバー様の御姿を拝見することができたぞッ!!

・・・では御覧頂こうッ!! これがウワサの「サバーサマ」じゃあッ!!



昔はいくつもの集落が参加していた神事だが、農家の減少、高齢化や少子化などの影響で今では4つの部落が持ち回りでサバーサマを藁で編んでいるらしい。 この時点ではサバーサマもサネモリサマも違いはなく 2体は全く同じように作られている。 出撃当日に人形の腰にお弁当が付けられ、呪文のような文言が書かれた幟を持たされるようだ。 

んでもって 神社を出てしばらくは大名行列の如く 人々に田んぼまで運ばれて それから先は猿岩石のようにヒッチハイクをしながら豊北方面まで運ばれていくんだとか。 うまく行けば豊浦の犬鳴峠まで行って「唐に行け~」と海に突き落とされるか あるいは燃やされるらしいが、よくよく考えたら最後まで踏んだり蹴ったりの扱いをされる神様だよなあ・・・

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てなわけで わしは仕事で当日は見ることが出来ないが、ヒマな人は「こういう神事がある」ということで見学に行ってみてはいかがかな?
去年も書いたが 減反や高齢化で農家もどんどん減っているし、効率化と近代化で昔ながらの稲作文化というものも変わりつつあるのが現状だと思う。でも 収穫を祝う秋祭りなどのように 稲作に絡んだ風習と言うのは日本の文化の根底にあるわけだから こういう風習は後世に伝えていかねばならない、と 思うわけだ。

今は害虫退治も農薬に頼るご時世だから こういう「サバー送り」という神事も子供たちにとっては何のことやら理解できないかもしれないが、あまり化学に頼ったり効率ばかりを追い求めるのも問題があるよなあ・・・  

 田んぼに化学物質が蔓延して虫の1つもいなくなるようだと そのうちサバーサマもヘドラのような姿に変わってしまうんじゃないかと ちょっと不安だな・・・(´ー`) (←それはそれで嬉しそうだが・・・) -----

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以上が2008年7月1日のブログなんだが おおよそ「サバーサマ」についてはお判りいただけたと思う。

で、昨日7月12日、ちょいと仕事で長門市に行く用事があったんだが、向津具半島に向かう伊上のT字路より200Mほど下関寄りの田んぼの中に ふと佇む怪しげな物体を目撃・・・

あっ・・・Σ(゚Д゚)

これは・・・わしが存在を知って15年以上追い続けていたサバーサマではないかッ!!
旅をしている途中のサバーサマを拝むのは今回が初めてなんで 感動もひとしおじゃ!!

サバーサマ近影。頭と腰の「一〇」は何を意味するのか?

ちゃんと帯刀もしているな。

幟の呪文も気になったんでチェックじゃ!
こちらは「定其禁圧之法」

撮影のために地面に置いているが「為払禽獣昆虫之災」
これは何となく意味が分かるな。

「天津祝詞乃太祝詞言」。これは神様に穢れや災いを払い清めてもらうおまじないみたいなものらしい。

むぅ~・・・
今年の半夏生は7月2日だったらしいが 10日経って長門市東深川の飯山八幡宮から伊上あたりか・・・夜中にこっそり移動していくらしいが 移動のペースが速いのか遅いのかよくわからんな。

ちなみにこのサバーサマが長く居座るとその家は不幸になる、とか 移動するところを見られたり口外したりすると呪われる、とか いろいろ言い伝えがあるらしい。そんな神様・・・おまけに元々は害虫が神格化したものだし、イスラム圏の人が見たら理解できない風習だろうな・・・

まあ 末路が海に捨てられるか燃やされるか どのみち不幸な運命が待っている旅なんだが 途中で不法投棄とみなされて回収されないように元気にヒッチハイクを続けてほしいものよのぅ・・・(´▽`)

2 件のコメント:

  1. 学芸員さんに聞いたら濃い話がいっぱい聞けたぞ。
    この風習は各地にあって、萩市各地にもあるそうだ。
    ただこんな長距離移動は類を見ないそうだな。
    サバー様、サネモリ様を見つけるにはコツがあって、集落の境目を知っていれば案外簡単に見つかるそうだぞ。
    地区によっては毎年同じルートだそうだし。

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    1. そういえば萩博のSNSでもサバーサマを追っていたな。萩市内の虫追いの話は聞いたことがないが 三角州内では田んぼ自体が消滅しているからなあ。

      昔のようにサバーサマを置かれた人が自力で隣の集落に運んでいれば同じルートだろうけど 田んぼがどんどん消滅して さらにヒッチハイクのように軽トラの荷台に積まれて移動していたら距離もスピードも徐々に変わっていくんだろうなあ

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