2020年8月27日

【山口県の滝データ】萩市(旧福栄村)の滝 ・牧の滝 (コロモ滝・赤滝)

牧の滝 : 萩市大字福井下
落差 40M



福栄村の福井地区、羽賀の台から流れ落ちる滝。この滝へのルートは簡単で 道の駅「ハピネスふくえ」から北側の3つ角を阿武町方面に曲がり しばらく行くと「牧の滝」と書かれた赤い看板が見える。

駐車場は数台が停車可能だが 困ったことにこの滝は真上からしか見ることが出来ないので 滝の真上に到着しても何処に滝があるのか 知らない人は全然わからないと思う。 わしも最初は滝の写真を頭に焼き付けて来たんだが それがどこにあるのか全然わからず、付近で作業している農家の人に聞いたら 「あんたの足の下が牧の滝だよ」と言われて愕然としたからな。

この滝の水は農業用水に回されるために 滝の上部はコンクリートの側溝で固められている。ゆえに上から見ても単なる人工物にしか見えない、というのが痛いな。 

2段構造で落差は40Mほどあるらしいが どう頑張っても一番上の部分しか見えないし、稲作が始まると川の水のほとんどは用水路を通って他にまわされてしまうので 滝は枯れてしまう。夏や梅雨時の水量の多い時期に見ることが出来れば それなりに良い滝だとは思うんだがな・・・

上の写真は傍を通っている道路側の山の斜面に登って撮ったものだが 上から見るためにはどんなに危険をおかしてもこの程度が限界。 このつまらない写真でも足元を滑らせたらタダでは済まないくらいの危険をおかしているぞ。

できれば滝全体を拝めるように 川底に降りられるような工夫か 滝見用の吊橋でも作ってもらえたら良いと思うんだが 、せめて道路わきの雑木くらいは刈って欲しいぞ。

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で、「どうにかして滝つぼに行く方法はないのか?」と考えたとき、一番有効なのは 「川を歩いて近づく」という結論に達したんだが、下流をウロウロしていると「羽賀の台採水場」という 瀬というか 淵のような場所を発見。



牧の滝の下まで行くには ココから沢登りをするしかないようだが、けっこうな距離があるんで断念してしまったぞ。

しかし この瀬というか淵のような場所は 「羽賀の台と平原台の境」という点、「牧の滝と雌滝の中間点」という点、「2つの川の分岐点手前」「滝というより瀬で 滝つぼは子供の川遊びにちょうど良い」・・・など 「防長四十八渓」に記載されている「コロモ滝」に関する記述にピッタリ符合する気がするんだがな。

この場所についての詳しい情報を知っている人、または「牧の滝」の真下へのアプローチの方法、「コロモ滝」について 何か情報を知っている人がいれば連絡が欲しいぞ。

で、わしが一番興味を持ったのが この瀬のあちこちに見られた 岩の間から湧き出ている赤い水の流れだな・・・

これって 津和野や柿木村で見られるような鉄分を含んだ温泉の一種じゃないのかな?
まあ だったらどう、と言うことも無いんだけど・・・

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【追加情報 H18.04.23】

・・・で、ちょいと「牧の滝の下段を見よう」と思い立って 上で紹介した「羽賀の台採水場」からの遡上を試みることにしてみたぞ。

前回 ココに来たときは「距離があって藪に覆われているけど 川をジャブジャブ歩いていけば そんなに難しいルートではあるまい」と 若干甘く見ていたんだが、実はけっこうハードなコースで「プチ渓谷」と言っても差し支えないような野性味あふれる内容だったな・・・

詳しくは関連ブログ日記(現在はサーバーごと消滅・・・)を御覧頂くとして、これが牧の滝直下から眺めた姿じゃ。おそらく他では見ることは出来ないと思われるぞっ!



二枚の写真を合成しているが この場所からだと滝つぼから 上部にかかっている橋まで一望することが出来る。ただ 牧の滝は形が複雑なんで 中段の肝心な部分はやっぱりよく見えなかったな・・・

で、上の「羽賀の台採水場」にある小滝が 「もしかしたら『コロモ滝』じゃなかろうか?」 ・・・なんてことを書いたんだが、よくよく「防長四十八渓」を読み返してみると 場所的に全然見当違いであることが判明・・・

どうやら真の「コロモ滝」は ココよりはるか下流、大井川の「阿児女渓谷」なる場所の「仁保谷」という集落にあるんだそうな。てなわけで「コロモ滝」の存在を確かめるべく さっそく「仁保谷」集落まで行ってみることに。

余談だが この「仁保谷」という集落は 溶岩台地の上に田んぼが広がっているんだが、その農業用水が道路の傍に「滝」として流れていたりする。

元々は自然の滝なんだろうけど 恐らく上は用水路だろうし せっかくの20Mクラスの流れも道路に分断されて 勿体無いよなあ・・・

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県道315号の「仁保谷」のバス停から 大井川の作る「阿児女渓谷」に降りる道が伸びているんだが、道路を下っていったカーブのところにある「鵜の島橋」という橋付近は なかなか趣のある渓谷風景が広がっている。

ここでふと耳を澄ませば、なにやらドバドバと景気の良い水の落ちる音が聞こえてきたんだが、よく見ると50Mほど上流の左の崖から 10Mクラスの立派な滝があることが判明したぞっ!

もしかしてこれが噂の「コロモ滝」なのかっ!

むぅ~!崖を垂直に流れ落ちている 立派な滝には違いないな・・・・

水量は少ないが 白糸を引いて優雅に流れているし、これは「コロモ滝」と呼ばれても全然おかしくない、というか 理にかなっているんではないか?

まわりを見渡しても他に「滝」と呼べるものもなさそうだし、「仁保谷」という地理的条件から考えても コレが「コロモ滝」で間違いあるまい。ばんざーい!ばんざーい!ヽ(´ー`)ノ


・・・・とは言ったものの、それはあくまでも わしの勝手な想像に過ぎないんで もう一つ確証というか決め手と言うか お墨付きが欲しいよなあ・・・・

で、 この川から数百メートル道を進んだ集落で民家を発見したんで、そこのおじいさんに「この滝がコロモ滝で間違いないか?」ということを 確認することにしたぞ。
しかして その結果とは・・・・

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「そんなものは単なる水の流れで 滝とは言えんじゃろぅ? このあたりに滝と言えるようなものは ひとつもありゃせんよ。」

 _| ̄|○ あ、そう・・・・。なんか そんな予感もしたんだがな・・・・

では真の「コロモ滝」とは一体どこにあるのか? ついでだから そのおじいさんに「コロモ滝」のことを訪ねたんだが、少し驚いたような顔をして 「あんた、『コロモ滝』なんて名前を何処で調べたんかね?」と 逆に訪ねられてしまったな。

そしてさらに「コロモ滝は“滝”と名前は付いているが 水の流れているような滝じゃない」という衝撃的な答えが待っていたのだった・・・。

この仁保谷集落から大井川の下流に向ってさらに進み、鉄製の落石防止用のトンネルのある付近の対岸の山の中腹に見える大きな岩肌、これこそが「コロモ滝」と言われているものらしい。
このおじいさんは若いときにこの岩肌の上に立ったことがあるらしいが(何しに?) それはもう、足がすくむほどの大絶景らしいぞ。

柱状摂理の立派な大岩で 武士の衣に似ているから「コロモ滝」と呼ばれているんだそうな。 まあ 一種の自然崇拝というか宗教的な考え方なんだろうが、こういう風に山の岩肌を「滝」に見立てているケースは県内でもけっこうあったりする。
美祢市や玖珂郡の方にも 水が全く流れていない山に「白滝」なんて名前が付いている場所があるしな。

左の写真はその「コロモ滝」直下の大井川の様子。 山口県の渓谷について詳しく書かれた「防長四十八渓」なる本に 「阿児女渓谷」として紹介されている「コロモ滝の瀞」と言われるのは おそらくはこの辺りを指しているんだろうな。


コロモ滝

少々小さいが この写真の真ん中に見える白い岩の部分が いわゆる「コロモ滝」だ。

赤滝
ちなみに左の写真、この山を超えて北側の隣の山には このような高さ100Mクラスの迫力ある大岩盤が聳え立っているんだが、これは「赤滝」という名前が付いているらしい。

なんでも昔 議員さんだか観光課の役人さんだか とにかくそれなりに偉い人がこの渓谷を観察に来て 「耶馬渓よりも迫力がある」と お褒めになった、という逸話があるらしいが その割には全く観光地としては手が加えられていないよなあ・・・


その昔、大井に住むナントカさんが ロープを使ってこれらの崖の垂直踏破にチャレンジしたらしいが 転落してお亡くなりになった、という事故があったらしく、それ以来 立ち寄る人もいなくなったんだそうな。

今では「コロモ滝」という名前も一部の渓流釣りマニアくらいしか知らないんではないかな?(ちなみに「防長四十八渓」では この大岩直下の周辺の淵 一帯を「コロモ滝」と呼んでいるようだな。)

むぅ~、結局 「コロモ滝は滝じゃない」ということが今回の調査によって解明されたわけだが、まあ 残念には違いないけど ダム開発や道路工事なんかのように人の手で闇に葬り去られる滝があることを考えれば まだまだマシなほうかもしれないな・・・・
※記事は掲載当時の原文のまま

【追記】・・・最初の散策から15年くらい経った2017年、文明も進化して友人がドローンを所持するに至ったんで なかなか全景を拝めない牧の滝の空撮を行ったんで 写真だけでも載せておこう。




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