2017年7月19日

(再録・日本一周記049)2003/08/23・魔境伝説 カムイワッカ!

(第49日目)小清水町~斜里町~羅臼町



なんか最近は涼しい気候が続くんで 車中泊でも毛布があれば妙にぬくぬくとして睡眠が深いぞ・・・

昨晩 一夜を明かした道の駅「はなやか(葉菜野花)小清水」を 朝6時半に起床。いつもは太陽が登る前に明るさに気づいて目を覚ますんだが 今日は曇天なんで結構 遅くおきてしまったな。

車内でHPを更新して 何かないかと道の駅に併設されている商店を散策。ここはJRの駅と共同の敷地なんだが 売店はまるでコンビニ。しかし道の駅らしく 地元の農家の生産物や主婦達の作った惣菜なんかも売られているのだ。
惣菜がちょっと安い値段で それでいて食欲もそそられたんで ココで朝食を済ませることに決定~♪

左から時計回りに
チーズちくわ(50円) カスベの天ぷら(100円)
サーモンの南蛮漬け(100円)
ポテトサラダ(100円)
帆立のおにぎり(2個200円)


これにウーロン茶の1リットル紙パックなどをつけて けっこう豪華な朝飯になったな・・・

ちなみに わしにはあんまり馴染みの無かったんだが 東北あたりからチラホラと目に付きだした「カスベ」というのは何か良くわかんないな。
フカヒレのようなエイヒレのような 何かの魚のヒレの部分だと思うが 筋とか骨とかも有るような無いような・・・とにかく丸ごと食べられて結構美味かったな。


さて、今日の予定は「日本最後の秘境」と言われる知床半島。スムーズに進めば野付半島、根室あたりまで進みたいんだが・・・心配なのは天気だけだな。晴れを望むのは無理かも知れんが なんとか曇りの状態を保って欲しいのぅ。できれば国後島なんかも見てみたいし。

出発して斜里の町でガソリン給油。(394.1K地点 ホクレン 27.6L/3130円)
まだまだメーターは余裕があるみたいだが やっぱ「日本最後の秘境」とまで言われた知床に入るのだ。入れられるうちに入れておいても無駄にはなるまい。

それにさすがにこのあたりまで来ると ガソリンの単価も微妙に高くなってきているからな・・・高いところで空にして満タンを入れるよりは 少しでも安いところを見つけるまで持ってくれた方がいいしな。

100名山の斜里岳を右手に見ながら進むと 程なくして知床半島に突入。まずは最初の見所、100名瀑の「オシンコシンの滝」だっ!

これが「オシンコシンの滝」。流れが二つ有るんで「双美の滝」なんて別名もあるとか。

こうゆう風に滝を横と正面の両方から間近に見れるというのも珍しいかな?
さすが100選だけあって大したものじゃのぅ。

奇岩、断崖の続く知床半島をさらに進んでいくと ウトロという温泉街に到着。ここが知床半島の観光の拠点になっているらしい。

・・・温泉か・・・気が付くと2日も風呂に入ってないんで 今日あたりはどこかで入りたいが・・・

ご存知の通り知床半島は国立公園に指定され 環境を守る、と言う大義名分のため「カムイワッカの滝」までしか道は無く 時期によっては立ち入り禁止だったりするわけだ。
てなわけで知床岬に行くには観光船に乗っていくしかないわけだが 知床岬クルージングの観光遊覧船はお一人様6000円とか・・・

う~ん、折角ここまで来て岬を見れないのもなんだか悔やまれるが 岬を見るだけで6000円はあまりに痛い出費だな・・・でも観光船に乗らないと「乙女の涙」とかいう滝や 色々な奇岩も見れないし、はてさて どうしたものか・・・

とか悩みながら 観光案内所に行くと「本日 観光船は気象不良のため運休」との張り紙が。
・・・ま、スパッと諦めがついて 逆に良かったのかも知れんなあ。





さて この知床半島、先ほども書いたように国立公園で 半島のほとんどが自然保護のため一般人の立ち入りは厳しく規制されている。もちろん冬は閉鎖されてもおかしくない場所だし なんせ整備しようにもできない場所だったりするんで ちょっと天候が悪くても土砂災害の可能性があれば閉鎖されてしまう様なのだ。

で、ウトロから「知床五湖」や「カムイワッカの滝」につながる「知床公園線」こと道道93号線(「道道」は北海道で言う いわゆる県道だな)も 夏休み期間は家族連れやキャンパー、避暑を求める旅行者など 大量の人間が押し寄せてしまうんで マイカー規制が引かれてシャトルバスや許可された車両しか乗り入れができないらしい・・・。

わしは全然 計算に入れてなかったんだが 8月20日をもって規制が解除されたんで 運良く車を乗り入れることができたぞ。もう少し早く北海道を回っていたら 途中のウトロで折り返さざるを得なかったわけだ。

8月20日という解禁日も 北海道の夏休みが短いからこそ定められた日程だと思うし いやあ そう考えるとホントにラッキーだな、わし♪



知床公園線をしばらく走ると「知床五湖」の駐車場に到着~♪う~ん、ここで駐車代金410円が掛かってしまうのか・・・しかしここまで来て駐車場をケチっていたら何も見れないしなあ。


遊歩道に入る前に このような看板が・・・

このあたりは全く手付かずのエリアなんで やっぱりクマとか鹿とかがウロウロしているらしい。
野生動物に餌を与えるくらいなら そんなに罪悪感は感じないんだが ウッカリすると自分が餌になってしまう可能性もあるわけだ・・・

いちおう受付の人に頼むと「クマ除けの鈴」なんかも貸してくれるらしい。
クマよけの鈴・・・なんとなく人の心をくすぐるアイテムだが 集団でベチャクチャ騒ぎながら歩き回る観光ツアーのオバチャン集団に限って こういうアイテムを身に付けたがるのは何故かしら?
わしですら傍から見てて近寄りがたいのに 人に敏感なクマが近づくとは到底 思えないんだが・・・

知床五湖の遊歩道は原生林を辿って5つの湖を見て回る 約2キロのコースだ。

なかなか鬱蒼としていて面白いぞ。 ただ 時期や時間帯を選ばないと やっぱり家族連れや集団観光客(主にオバサン)の声があちこちから聞こえてきて 少し興ざめするが・・・

熊の心配は無さそうだが キツネや鹿 リスなどのラブリーアニマルも全く姿を見せず 少しさみしい・・・
知床の木には こうゆう風に亀裂の入ったものが多い。

冬の寒さで木の内部の水分が凍って破裂するんだとか。そして春になって また割れた傷を治しながら成長するわけだ。森の生命力の偉大さを実感するなあ。

この遊歩道を歩いて改めて感じたが あっちこっちで木が倒れて腐っているな。そしてその腐った木が栄養となって虫や新しい木々を育て そしてそれを餌とする小動物やキツネ、鹿、クマなんかも住める環境になるわけだ。
人の手入れの行き届いた植林された山を見てても 緑は確かにあるんだが 腐った大木など見ないし だから動物も住みにくい環境になってしまうんだなあ。

自然に任せるのがベストだと思うが 成果が現れるのは何百年という年月が必要だし・・・「治山」とか「治水」「植林」「自然保護」というのは本当に難しいな。

←余談だが 知床五湖のレストハウスで購入した「コアップガラナ」なるドリンク。(130円)

北海道開発公社とかなんとか言うグループの商品らしいが・・・コアップブランドなんて初耳だぞ。



さて、この「知床公園線」は知床五湖の駐車場を持って 舗装部分が終わってしまう。これから「カムイワッカの滝」までは砂利道を約12キロほど進まないとならないのだ。

こういう時 やっぱ我が愛車 ロードスター号は弱いよなぁ・・バンバンと抜かして去っていくオフロード四駆を見ながら つくづく思ったぞ。

← シカ♪シカ♪


なんか うっすらと紅葉が始まっているような気がするな・・・
あと1ヶ月もすると 本当にいいシーズンになるんではないかな?

原生林を通る砂利道を延々と進むと 小一時間ほどして道路わきに停めた車の集団にたどり着いたぞ。
ここが今日のハイライト、「カムイワッカの滝」だっ!
・・・なんか滝の中を登っていく人影がチラホラと・・・


実はこの滝の正式名称は「カムイワッカの湯の滝」と言うのだ。流れているのは温泉で手をつけると確かに少しぬるいぞ。

滝の上には何個か滝壷があって そこが露天風呂となっているんだとか。しかも途中で水が加わっていく関係で 上にある滝壷ほど高温の湯なんだそうな。

・・・むぅ、体がウズウズと・・・男ならこれは登らねばなるまい!!
しかし思った以上に険しいし 滑って危なっかしいな・・・
老人や年端の行かない子供、冒険に自信の無い人は はっきり言って止めておいた方が無難だと思うぞ。

毎年のように滑落事故で怪我をする人が絶えないらしいが 実際に登ってみて”さもありなん”と感じてしまったぞ。確かにこれは一般開放する行政の勇気に拍手を贈りたいくらい危険でワイルドな温泉だ。

はっきり言って ここに来るならば着替えと濡れてもいい服装、それに滑らなくて濡れてもいい靴が必須だ。(仮設の更衣所も滝の入り口にちゃんとあったぞ。滝を下りてから気が付いたんだが・・・)

温泉成分が岩に付着しているんで裸足でも簡単にすべるし スリッパでは簡単に脱げて かえってあぶない。途中で転んでズブ濡れになったと思われる人も何人も見かけたしな。
わしはスポーツサンダルを持っていて良かったぞ。

ま、滝の登り口に「貸しワラジ」があるんで それを借りるのがベストかも。

ヒーコラ言って登っていくと だんだん源泉に近くなるのか 湯気が見え出してきたぞっ!

では ご覧頂こう。これが秘湯・カムイワッカの滝温泉だ!!

完全無料・完全混浴・完全露天

この写真は「この上にも滝壷があるかもしれないが これ以上はリスクがあまりにも大きすぎる」というところまで登ったところにある滝壷だ。

水着は特に義務付けられているわけではないが その怪しい魅力のせいか若いギャルもチラホラいるし 一度登ったら下りるのがめんどくさい(と、いうか 登りより下りのほうが危険度は高い・・)から 持って登った方がいいぞ。

さもなければ フルチンになる勇気がなければ わしのようにブリーフで入る、という恥ずかしい姿を人様にさらしてしまうからな。(水着も持っていたのに 登ってから気がつくんだもんなぁ・・・せめてトランクスをはいていれば良かった・・・)

さすがにココまで危険を伴って登って来たんで その苦労を知っているせいか風呂に入るときには見ず知らずの人ともあっという間に仲良しになってしまうぞ。キーワードは「今後こんなトコまで来ることは二度とないだろうから ここまできたら入らなきゃ」だ!

わしのような怪しい風体の男ですら 一緒にいたカップルとちょこちょこ会話をして 記念写真まで撮ってしまったからな・・・

しかしこのカップルの女の子は可愛かったな・・・(´ー`) 彼氏の方も見るからにやさしそうなハンサムボーイだったが 二人とも気さくで明るくて わしから見てもお似合いの爽やかカップルだったぞ。
くそ~、正直 若いってうらやましいな。

ちなみにこの温泉、酸性度が結構高く 目に入るとチカチカするし 口に入るとやたら苦い。調子に乗って岩から飛び込んだりすると目と鼻をやられてエライ目にあうぞ。

わしは足のマメや擦り傷、最後の方には肛門の粘膜までもがヒリヒリしてしまった・・・
これは皮膚病なんかは一発で治ると思うな。わしも詰まり気味の鼻が一発で通ってしまったからな。(←知らずに調子に乗って滝壷に潜ってしまったらしい・・・)




ゆっくりと温泉を堪能し ふたたびヒーコラ言いながら滝を下りると なにやら監視員の若い兄ちゃんが険しい目をして谷の下の雑木林を見ている姿が・・・
観光客も何か騒然としているし 何か事故でもあったのかな?

とか 思いながら おもむろに谷の方をみると・・・

むぅ!あ、あれはっ!

(-_-;) ついに出ましたか・・・しかもあんなに接近しているとは・・・

しかし 野生のクマは侮れないな。あんな急な谷を移動するスピードは まるで人間技とは思えないくらい早いぞ。(クマだから・・・)



ホントにいるんだな、クマ・・・いやあ いいものを見させて頂いたわい。これで登別のクマ牧場に行く手間が省けたな。

どうでもいいけど 近くにいた観光客のオバチャンがコソッと呟いた「こりゃ クマッた!」という一言を わしは決して聞き逃さなかったぞ・・・



夕方になって そろそろ山を下りなければならない時間になったが さすがに夕方になると道のあちこちに活動をはじめたシカを何頭も見ることができるようになったぞ。
クマの危険さえなければ 夕方に来るのがオツなんだろうが・・・夜は何も照明がない滝に上るのは自殺行為か・・・



そのあとは 今日の寝床となる道の駅を目指し 知床峠を進んで羅臼町へ。

この「知床峠」というのが また絶好のビュースポットらしいんだが 今日は曇ってガスも出ているんで真っ白で何も見えなかったな・・・

しかし知床、噂には聞いていたが その魅力には恐れ入ったな。こんなに濃い場所を一日で済ますには あまりにも勿体無さ過ぎるんで 明日も半島の裏側を散策してみることにしよう。

と、思いながら 峠を下ると 町に入る寸前で「羅臼温泉郷」とか言う看板が目に入ってきた。
地図を見ると「露天風呂・熊の湯」なるものが どうやらあるらしい。

むぅ! さっきの湯では不本意ながらパンツをはいたままの入浴だったんで いまいち秘部がスキッとしないな・・・
これは(また)入るしかあるまい!!

これが羅臼温泉「熊の湯」。例によって完全無料・完全露天風呂だが こちらは仕切りがあって女性も安心だ。(ただし 女湯は露天ではないと思う・・・)
男湯を写真に撮ろうと思ったが たくさんの人がいたんで断念。もし見たければちょっと裏を覗けば丸見えだぞ。

ココのお湯は少し熱いが 雰囲気や入りやすさで言うとお勧めだな。もちろん水着は厳禁。

5時過ぎ、道の駅「知床・らうす」に到着。少し早いが今日はここで過ごして 明日に備えようかの。

おぉ、海を見れば うっすらと国後島が見えるではないか・・・縁もゆかりも興味も無いと思っていた北方領土も こうやって間近に見ると なにか感じるものがあるのぅ。

しかし今日は濃かったな・・・熊もシカも露天風呂も堪能できて 言うことなしじゃわい。久しぶりに感動と興奮が押さえきれない一日だったな。
やっぱオススメだな、知床は・・・。


ちなみにこれは道の駅でオヤツ代わりにつまむために購入した「鮭とば」(500円)。やたら固いし コレだけの量を消化するには何日かかるんだろうな・・・?



今日の一枚・・・
見知らぬアベックに頼み込んで借りたマブい(←死語)彼女と 念願の混浴シーン♪

走行距離130K
出費金額朝食一式、お茶・その他・・・1254円
ガソリン給油(27.6L)・・・3130円
知床五湖駐車場・・・410円
コアップガラナ・・・130円
バターラーメン・・・700円
鮭とば・・・525円
計・6149円

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