2017年6月3日

2017GW南九州一人旅⑱ 吉田温泉・鹿の湯

今回のGW鹿児島・宮崎旅行もいよいよ四日目に突入!

やはりGW明けからの仕事を考えると下関に向かって北上しながら移動しなくてはならないんだが、まっすぐ人吉方向に抜けるか そのまま高速に乗るか、あるいは・・・

・・・と、いうことで 今回はえびのから一旦西に進み、九州本土の中でも通り過ぎただけで全く記憶と印象が残ってない出水、水俣、芦北あたりを散策することに。



とりあえず この状況ではまず朝風呂には入らねばなるまい・・・(´ー`) 

えびの周辺はなかなかシブい温泉が点在しているエリアで 前回このあたりに来たときも鶴丸温泉なんかの含蓄のある湯を堪能させていただいたが、今回のターゲットは「宮崎県最古の温泉郷」とも称される「吉田温泉郷」

案内板の「吉田温泉由来」は字がかすれて全く読めなかったが、かつては界隈随一の湯治場として賑わっていたんだとか。

が、昭和43年のえびの地震の影響で源泉の湯量と温度が著しく低下。霧島エリアをはじめ周囲に温泉を利用したレジャー開発が次々と進み かつての湯治場はどんどん時代から取り残される形で寂れていき 今では何件かの湯治場が細々と営業している、ということらしい。



そんな吉田温泉郷で共同湯として営業しているのは「亀の湯」「鹿の湯」の2つ。今回は「亀の湯」をチョイスしたんだが 理由はこの日わしが目を覚ました朝7時から営業していた、ということに尽きるぞ。



・・・と、思ったら この亀の湯、平成29年の3月をもって休業したらしい・・・(´□`)
来るのが一ヶ月遅かったことを悔いたが、それでも経営者が変わってリニューアルオープンする予定があるらしい。
またその頃来ることがあれば是非とも試してみたいものよのぅ・・・



仕方が無いんで 亀の湯からもう少し奥に進んだところにある もう一つの共同湯、「鹿の湯」にやってきたぞっ!

吉田温泉は室町末期の1554年、霧島山の大爆発によってこの地に大量の温泉が噴出したことが始まりで、そのときの火山爆発で傷を負った鹿がおのれの傷を温泉に付けて癒していた現場を村人が見て そこに風呂を作ったのがはじまりなんだとか・・・

ゆえにこの「鹿の湯」は吉田温泉の元祖という存在なわけだな(´ー`)



・・・(-゛-;)もしかして これが湯小屋なのか?



で、こちらが湯治宿たる本館。

声を掛けようかどうか躊躇していたら 中からご家族で定期的にココに宿泊しているという宿泊客のおじさんと この鹿の湯オーナーの柴田さんが出てきたぞ。

恐る恐る「立ち寄り湯は頂けますか?」と訊ねたら 「まだ沸かし始めたばかりでお湯が溜まるまでもう少し時間が掛かるかな~?まあ、ゆっくり待っててくださいね」という返事が。

どうせヒマだし 宿泊のおっさんとオーナーさんと話をしながらノンビリと待つことに。(オーナーさんが「まあこれでも飲んで・・・」と缶コーヒーを奢ってくれたし・・・)

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左側の木々に埋もれて自然に還ろうとしている赤い木造の建物が旅館で右奥の白い家が今は営業していない商店。ジュース用の小さい4面ショーケースは共同の冷蔵庫と化していたが・・・

その上に立派なクスノキがあるが 上の丘には湯権神社があってこの温泉郷の守り神的な存在らしい。

で、手前の建物が湯小屋。



昔は源泉温度も高かったが今は加熱しないと入れないんで 廃材を燃料にしてちびちび沸かしている。

手前のスモークチップの山は窯から掻き出した焼け残りで 産廃として業者に引き取ってもらうには金が掛かるんで たまに知り合いがボランティアで処理してくれるらしいが それまでは溜まる一方なんだそうな。



湯治宿の本館はこんな感じ。なにか騙し絵のように傾いている印象だが、錯覚でも何でもなくて経年劣化でホントに建物が柱ごと傾いているぞ(-゛-;)

この唯我独尊の雰囲気がいい、ということで 年に1回バイク乗りサークルのミーティングが行なわれたり 何日か連泊で定期的にやってくる固定客も全国にいるんだとか。

あと、いかにも心に闇をかかえたようなオヒトリサマの妙齢の女性とか 一見して叩けば埃が出まくりだろう、という 世間から逃げているようなワケアリ客も定期的にやって来るらしい。(とりあえず皆さん生きてお帰りになられるそうなんで 特に事件にはなっていないようだが・・・)

一泊素泊まり1800円から、というカプセルホテルより安い価格設定だが、この日話を伺った客のおっさんは「オーナーが毛布を用意するのを忘れたから」という理由で100円だか200円だかの値引きを提示されていたが・・・

そんな心温まるナアナアな雰囲気が気に入ってて年に一度は家族で利用しているらしいが 奥さんは「虱が出そう」という理由であまり気に入ってないらしい。そんな湯治宿・・・(せめて「お化けが出そう」くらいにしてくれ・・・)

まあ、世の中にはこういうレアな雰囲気を好んで求める人だけじゃない、というか むしろ少数派だとは思うが・・・



車中泊をするくらいなら 一度はこーゆー宿を体験してみても面白いとは思うが ご主人も「来年には潰れているかもしれないよ~(建物が)」とか言ってるし・・・

さて、それはともかく肝心のお湯のほうを堪能させていただこうかの。



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吉田温泉 鹿の湯

宮崎県えびの市昌明寺689
泉質 :ナトリウム・カルシウム・炭酸水素塩泉 PH不明 源泉温度不明
効能 :ヒステリー・神経衰弱・創傷・火傷・慢性皮膚病など
営業時間 :9:00~21:00
料金 :300円

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たぶん使われていないと思うが、廃屋と化した番台らしきもの。外の窯の煙が容赦なく燻しているぞ。



脱衣所から浴室へは半地下風に階段を下りていく作り。



湯量が少ないんで2つに分けられているが 湯が入れられているのは手前の方のみ。



源泉槽は上がり湯として使われているが そこからチョロチョロと湯船に温められたお湯が注がれている。このペースだから溜まるのに時間がかかるわけだ。

お湯はやや金気臭のする薄いモール系か?肌触りの柔らかいツルツル系の一品。もちろん掛け流し・・・と、いうか設備的に加温が精一杯で 加水も殺菌も循環もできないだろうな。
素晴らしいお湯だとは思うが 建物のハード面のインパクトの方が強いから 正直あまり印象に残ってなかったり・・・

湯上りにお金を支払おうとしたらオーナーから 「あまりお湯の温度が上がらなかったんで御代はいいですよ」とか言われたが さすがに缶コーヒーを奢ってもらった上にタダ風呂は人としてマズかろう。

そのあと わしとオーナーさんとの間で「払う」「結構です」と しばし300円を巡って押し問答があったんだが、、、結果は想像に任せるぞ。



ふぅ・・・

2 件のコメント:

  1. 師匠・・・・

    やはり御歳の割に髪の毛が黒いですね(笑)いや、失礼です。

    温泉>9月頃に家族温泉一泊を強要され、ぼっつらぼっつら選んでるんですが、どれも甲乙つけ難いんですよね。(私的に露天風呂と肉は欠かせないんですが)
    島根辺りが近くて良いんですが。
    選定の参考にこのHPを利用させて頂きますね♪

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    1. Vein氏>温泉旅行、いいじゃないっすか~。私も風呂に入ってそのまま布団に一直線、という湯治旅行には憧れます。

      今回の旅行記にも鄙び系・・・というか廃墟のような湯治宿が出てきますが 子供や奥さんがいると旅館も高級すぎず鄙びすぎず、温泉に拘るより客室の使い勝手や料理のほうに重点がいくと思うんですが、残念ながらそういう旅館にはあまり縁がないんでアドバイスもできませんが・・・

      島根の温泉宿には一度泊まった事がありますが 三瓶あたりの湯治メインの宿は食事がなかなか豪勢だと思います。まあ、私は蕎麦とカニがダメなんで山陰側はほとんど恩恵を受けずに終わるんですがね(-゛-;)

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